睡眠とカフェインの関係について

 前回の記事では、体内時計が実際の時間よりも遅れてしまい、夜に眠れず朝起きられなくなる睡眠相後退症候群(Delayed Sleep Phase Syndrome: DSPS)の治療法の一つとして、生活習慣の見直しをご紹介しました。今回は、その中でもカフェインに焦点を当て、詳しく解説していきます。
関連記事:DSPSの治療(生活習慣編)

 カフェインを含む飲料といえば、コーヒーエナジードリンクを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? しかし実際には、その他いろいろな飲み物にもカフェインが含まれています。以下の表は、飲料100mlあたりのカフェイン含有量を示しています。

飲料名カフェイン含有量(100mlあたり)
レギュラーコーヒー60mg
ココア30mg
レットブル32mg
オロナミンC15mg
紅茶30mg
ほうじ茶20mg
煎茶20mg
烏龍茶20mg
コーラ10mg
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 文部科学省

 例えば、 コーヒー1杯(150ml) ウーロン茶500mlペットボトル では、ほぼ同じ量のカフェイン約100mgが含まれているのです。
「コーヒーやエナジードリンク以外なら大丈夫」と思っていた方も、意外な飲料にカフェインが含まれていることに驚かれたのではないでしょうか?

 カフェインを日常的に摂取している方は次のような症状に心当たりはありませんか?

・寝つきが悪い
・眠りが浅い
・夜中に何度も目が覚める
・悪夢を見やすい

 カフェインは、神経を鎮静させて眠気を引き起こすアデノシンという物質と似た構造を持ち、アデノシンが働くための受容体に先回りして結合します。これにより、アデノシンが受容体に結合できなくなり、神経が興奮状態となって眠気が抑えられてしまうのです。
 カフェインと睡眠に関する研究では、普段からカフェインをよく摂取する人は、寝つきが悪くなりやすいことが示されています。また、カフェインを過剰摂取すると入眠までの時間が長くなり、睡眠の質が低下することも報告されています。さらに、カフェインには 利尿作用があるため、夜間にトイレに行きたくなり睡眠が中断されることも、眠りの質を悪くする一因となります。

 眠る前に血液中に50mg以上のカフェインが残ると、深い眠りが減るとされています。また、カフェインの血中濃度が半分に減る時間(半減期)は約5時間です。仮に24時に就寝する場合、カフェイン摂取量の目安は次の通りです。

9時までに 400mg以下
14時までに 200mg以下
19時までに 100mg以下

 これを コーヒー に当てはめると、10時以降に3杯、15時以降に1.5杯を超えないことが理想的 という計算になります。また、 ウーロン茶 を例にすると、14時以降に1L飲むとNG です。当クリニックでは、簡単な指標として「15時以降はカフェインを控える」ことをおすすめしています。ただし、これは一般的な健康成人を基準にした数値であるため、特に少量でも影響を受けやすい子どもや高齢者、妊婦の方はより慎重な対応が必要です。

 「じゃあ、水しか飲めないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。カフェインを含まない飲料もたくさんあります。

コーヒーならデカフェ(カフェインレス)
お茶なら麦茶、ルイボスティー、ハーブティー
炭酸飲料ならサイダー、フルーツ系炭酸飲料

(※デカフェでも微量のカフェインが含まれる場合があるため注意しましょう。)

 カフェインは適量であれば眠気を覚まし、集中力を高める効果があります。しかし、過剰摂取は睡眠の質を低下させるだけでなく、めまい・下痢、吐き気・心拍数の増加・中毒などの健康リスクにもつながります。そのため、適切な時間と量を意識することが大切 です。

  • カフェインは意外な飲料にも含まれているため、成分表を確認する習慣をつける
  • 15時以降のカフェイン摂取を控えると、睡眠の質が向上しやすい
  • 代替飲料(デカフェ・麦茶など)をうまく活用しながら、カフェインと上手に付き合う

当クリニックでは、不眠や睡眠障害に関するアドバイスや治療を提供しています。
「なかなか眠れない」「睡眠の質を改善したい」とお悩みの方は、お気軽に診察・処方を申込みはこちらよりご予約・ご相談ください。

参考文献

  • オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ):Report from the expert working group on The safety Aspects Of Dietary Caffeine(2000)
  • Wikoff, D.ら (2017). Systematic review of the potential adverse effects of caffeine consumption in healthy adults, pregnant women, adolescents, and children. Food and Chemical Toxicology, 109, 585-648.
タイトルとURLをコピーしました